記憶 Text Audio /1
名前
若い頃、自分の信仰を疑ったことはなかった。地下の空間を占める巨大な納骨堂で、元テンプラー団員の骨を積み重ねていた。その全てが神聖であると教え込まれていた、全てが聖なるものであると。でも、その暗い日々の中、そこに立ちながら、私も加わるとされていた骨の山を見つめていた時、私は気づいた。その骨が誰であったのか何も知らないことに。美辞麗句を尽くした戯言、意味のない言葉。多くの人々が忘れ去られた。でも私が忘れられることはない。
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